Honey Dijon

(Classic | NY, Berlin)

ハウスの聖地シカゴで生まれ育ち、現在、ニューヨークとベルリンを拠点に活動するトランスジェンダーDJ。10代前半でクラブに忍び込んでいたHoney DijonはFrankie Knucklesに衝撃を受け、ハウスミュージックに傾倒。後に師として仰ぐことになるDerrick Carterを通じてジャッキンなハウスとデトロイト・テクノの洗礼を受ける。彼女はその後に移住したニューヨークでハードハウス旋風を巻き起こしていたDanny Tenagliaと電撃的な出会いを果たす。「Dannyが紡ぐドラマ性や果敢な選曲は、いかに音楽を提示すべきかを教えてくれたし、Derrickやシカゴハウスにも大きな影響を受けた。シカゴとニューヨークのふたつが私独自のサウンドの支えになっている」と彼女が語るように、多くのウェブサイトで配信されているDJミックスでは、シカゴらしい猥雑な官能性とニューヨークの王道的なグルーヴを組み合わせ、そこへヨーロッパからの影響を忍ばせたHoney Dijonにしか成しえない先進的なセットを聞くことができる。Derrick Carter主宰のレーベルClassicから発表されているSeven Davis JrやTim Kとのコラボレーション作品でも、DJと同様の音楽性が映し出されている。さらに彼女はファッション誌The Gentlewomanやニューヨークタイムズ紙のファッション面で特集を組まれるなどファッション業界との関係も強く、Louis VuittonのデザイナーKim Jonesから依頼を受け、Giorgio Moroderと同ブランドのファッションショーの音楽を担当。クラブカルチャーにおけるジェンダー問題へも積極的にかかわっており、多くのパネルディカッションへ参加している。