Green Velvet

(Cajual Records | Relief Records | Chicago)

Curtis Alan Jones a.k.a. Green Velvetにとって、変化は彼の音楽的な成功の中で常にテーマであった。ジャンルを超え、シリアスな曲調からコメディ風まで様々なテーマを探求し、Green Velvet、Cajmereと名義を変えながら20年以上活躍し、ルーツとしているシカゴハウスサウンドに多大なる貢献をして来た。

彼の最初の変容は、趣味であった音楽を本格的に始めるために、博士課程で化学工学を専攻していたUCバークレー大学を去った時である。趣味でシカゴのDJをしていた父を持ち、サイエンスフィクションを愛好し、幼少はビデオゲームに熱中していたカーティスは、それらの音楽に晒され影響を受けて来た。

Cajmereとしては、自身のレーベル「Cajual」から初期ハウスサウンドを踏襲したUnderground Goodies EPを1991年にCajmere名義で初めてリリースした。そしてすぐに翌年前作のフォローアップとなる 「Coffeepot (It’s Time for the Percolater)」をリリース、スマッシュヒットとなった。

その成功に留まらず、ボーカリストDajaeと組み、メロウなハウスチューンBrigher Dayas Emothiveからリリースした。彼が女性ボーカリストと組んだのはこの曲と、より最近リリースされたラッパー Kid Sisterと組んだEverybody Wantsだけである。

この二つのプロジェクトの間の17年間、彼のもう一つの方向性であるレーベルReliefと共に、この多彩なアーティストは信じ難い数のエレクトロニックミュージックのリリースを重ねて来た。彼のテクノ寄りのDJプレイの際にはトレードマークの蛍光グリーンのウィグをつけた彼の分身ペルソナ Green Velvetとなり、1995年にUS全土のダンスチャート1位を獲得したFLASHや、Preacher Manといったヒットで、90年代のニューウェイブシカゴビートのチャンピオンとなった。1999年にはファーストアルバム「Costant Chaos」をリリースしている。

新世紀に入った後は、短命に終わったワーナーブラザーズとのプロジェクトF-111、Green Velvetとしての初のコンピレーションアルバムのほか、セカンドアルバム「Whatever」をReliefからリリース。パンクにインスパイアされた「Whatever」は、レイシズムがテーマの「When?」、ドラッグがテーマの「Genedefekt」と「La La Land」、疎外がテーマの「Sleepwalking」、権力への屈辱「Gat」といった、彼のそれまでの作品より更にダークなテーマを扱った。

「La La Land」は現在彼のキャリアの中では最大のヒットとなった。ライブでは、NazukとSpaceboyという二人のミュージシャンを従え、ヘビーで乱れたシンセ音を鳴らした。

2010年代ではヨーロッパ全土にファンが増え、クラブやラジオ出演に加え、メガフェスティバルへの出演が重なる。加えて、ノンストップなミュージックアウトプットは続き、数え切れないほどのサイドプロジェクトや様々な名義でのリミックスをリリース。

2005年には3作目となる「Walk In Love」アルバムをリリース。”Come BacK”やギタリストをフィーチャーした”Pin-Up Girl”といった幾つかのポップ、またはパンクよりのトラックを含んでいいるが、ハウスサウンドを忠実に踏襲したアルバムである。

翌年は彼の個人的な人生の中で重大な変化を迎えた。Green Velvetは、娯楽のドラッグのオーバードースを乗り越えクリスチャンとして生まれ変わったと宣言したのである。その後の作品は、”Shake and Pop”やオンラインのみで購入可能でイラク戦争への彼の返答である”Love Peace, Not War”など彼の言葉と人生に対する姿勢を反映している。

2016年から2017年にかけてリリースしたProk & Fitchと共作の最新作品”Sheeple”は、Beatportの総合チャートで何週間も1位を維持し、トップ10には数ヶ月もの間入り続けるビッグヒットとなっている。

生れながらのアーティストCurtis Alan Jonesの音楽、キャリア、人生への絶え間ない進化は、今まで同様これからも刺激的で魅力的な体験を世界中の彼のフォロワーにもたらすであろう。