Jan Jelinek

(Faitiche | ~scape)

ベルリン在住の音楽家/プロデューサー。
1998年にFarben名義で〈Klang Elektronik〉からリリースされたダンス・トラックで注目を集める。当時としては非常にミニマルながらも繊細なゆらぎに満ちたその作品群は、のちにSNDやMille Plateauxの作品群らとともにクリック・ハウスと呼ばれたムーヴメントを牽引する先駆けとなった。
2001年には〈~scape〉より本名Jan Jelinek名義で「Loop-finding-jazz-records」を発表。ジャズのサンプリング・ループから音のモアレのようなレイヤーを浮き上がらせ、ミニマルでエクスペリメンタルな電子音楽史に残る名盤として今もなお評価され続けている。
ハノーファーでのEXPO2000でのサウンドコラージュの演奏、日本の即興バンドComputer SoupやオーストラリアのジャズバンドTrioskとのコラボレーション等を経て、2008年より自身の実験のためのプラットフォームでもあるレーベル〈Faitiche〉の運営を開始。Jan Jelinek本人の作品やMasayoshi Fujitaとのコラボレーション、架空の作曲家Ursula Bognerによる作品などをリリースしている。
フィールドレコーディングコラージュ、音響作品、ミニマリスティックな電子音楽など、さまざまな作品全てに共通しているのは自身が収集した音の素材をライヴ処理することであり、テープレコーダー、デジタルサンプラー、メディアプレイヤーなどの迂回を繰り返して元の素材を彼自身の音楽へと変容させる。その実験の積み重ねと緻密さが、彼が唯一無二のアーティストといわれている所以でもある。