桑田つとむ

a.k.a DJ Quietstorm

日本名ですらローマ字表記にするDJが圧倒的多数の中、このほのぼのとした名前は、逆にその強烈な個性を浮き彫りにする。その上、青い目に金髪のドレッド。この“ほのぼのさ”と“危険な香り”のギャップはいわれもない違和感を醸し出す。

この違和感は社会の中のバグとしての主張なのかもしれない。桑田つとむは87年頃、ハウス黎明期のシカゴのウェアハウスで遊んでいた。Frankie KnucklesやBad Boy Billの影響を受け、自らもDJとして活動していた。

その後拠点を日本へ移し、長い間中目黒で薬局を営みながらヒップホップDJとして活動をつづけ、DJ KENSEIやTwiGy、ILL-BOSSTINOらとのコラボアルバムや、3枚のソロアルバムをリリースしていたが、ハウスDJとしての一面を見せることはなかった。当時シカゴで買い集めたコレクションをエディット&リメイクしたトラックやパーツを、長年の現場で鍛え上げられた驚くべきテクニックでミックス/コラージュしていくそのDJプレイは、フロアで体験する全てのダンサーの度肝を抜くであろう。
25年間温めてきたシカゴハウスへの愛の結晶ともいえるデビューアルバム「THIS IS MY HOUSE」が〈ene〉よりリリースされている。