D-Styles

スクラッチDJ、あるいはターンテーブリストの伝説、そして神と評され崇められるD-Stylesは、スクラッチミュージック・コミュニティー黎明期から活動を続けるシーンきっての要であり、ターンテーブリズムを世界的現象に至るレベルに広めた立役者の一人である。Q-BertやMixmaster Mike、Shortkutと共にInvisibl Skratch Piklzのメンバーとして90年代より活躍し、数えきれぬスクラッチテクニックと想像だにしないターンテーブルトリックによって、ターンテーブルを楽器と言わしめるレベルにまで昇華させた功労者としてもその名は広く知られるところだ。彼のプレイは間違ってもテクニックのショウオフではない。音楽としてのスクラッチを追求し、独自に築き上げたメロディアスなスクラッチスタイルから生み出されるストーリー性とグルーヴ感、そして、それらに裏付けられた音楽性の高さと音楽的な深みが全てのキーなのだ。D-Stylesのグルーヴは、ソロアルバム「Phantazmagorea」を始めとするリリースにパッケージングされた数々の楽曲の中で思う存分に体験することができる。現存するスクラッチDJ最高峰の名を欲しいままに、ツアーで世界各国のステージを巡る傍ら、DJソフトウェアでおなじみのSerato社がオフィシャルアイコンとしてD-Stylesを公式認定することからも、彼の世界的な評価の高さは伺い知ることができるであろう。Daddy Kev、Nobodyと共に地元ロサンゼルスのウィークリーパーティーLow End Theory®のレジデントDJ、あるいはBeat Junkiesの一員として活動を続け、2016年には、Invisibl Skratch PiklzをQ-BertとShortkutと共に復活させ、盟友Daddy KevのAlpha Pup Recordsから待望のアルバムをリリースするなど、輝かしいばかりの活躍は続く。独学で会得したカッティングスキルとそこから生み出されるサウンドのオリジナリティは、活動歴20年を越えた今でも他の追随を許さない。